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移り変わる景色と人々の中で

✳︎Instagramより

小さい頃から
ずっと同じ場所に住んでいます

我が家の南側に
昔は広いお庭のある平家が建っていて
そこはおじいさんとおばあさんが営む文房具屋さんだった
おばあさんが店番をしているその文房具屋さんへ
私はお小遣いを握って通い
練り消しや匂い玉なんかを買った
…所狭しと魅力的な文房具が並ぶ
ちょっと薄暗い店内の様子を
今でもよく覚えている

おじいさんは
植物が大好きで
店の裏に森のように豊かなお庭を育てていたので
私はしょっちゅう遊びに行っては
珍しい植物の話を聞いていた
…おじいさん自慢の見事なグリーンネックレスの鉢植に感動した事を今でも忘れない
お隣の庭先に
「お〜い」と声をかけると
「お〜い」とおじいさんの返事が返ってきて
安心したものだ


おじいさんとおばあさんが亡くなると
その土地は売られ
今度はだだっ広い駐車場になった

我が家の窓から見えた豊かな森の庭は無くなってしまい
新しく出来た駐車場越しに
我が家は室内までも丸見えになってしまったけど
陽当たりは最高に良く
日向ぼっこのお家だった


しかし近頃
その駐車場も売りに出され
今度は我が家より背の高いアパートが立つそうだ
今は
雨の日も晴れの日も
リビングの大きな窓から大きな空が見えているけど
これからは空がどんなに小さくなるのだろう
もしかして見えなくなるのかな
寂しさと共に
…漠然と不安で息苦しい
森の庭がまた見たいな


ほんの半径数100メートルの間でも
新しい建物を建設する工事が盛んだ
これは皆んな新しい何かに向かって
進んでいる結果なのか…
そしたら私もただ悲しんではいられない
空は小さくなっても
ここで出来る事に挑戦することを
新たな楽しみにしてみよう
この東京の端っこで
目指すは
子どもも大人も
皆んなが遊びに来て
「お〜い」
「お〜い」
か響きあう
豊かな森のお家😊♫